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実習の現場で見たもの

実習の現場でも疑問に思う場面をいくつか見てきました。

それもお話していきたいと思います。

 

・子どもを並ばせるときに腕を強く引っ張る。

「ほらー!○○くんはここでしょ!?ちゃんと並んで!」などと怒鳴りながら手を強く引っ張って並ばせる保育者。

どうしてそんなにイライラしているのだろうと感じた。子どもを物のように扱っている感じがした。

 

・子どもを事務所でさらし者にする。

顔にクレヨンをつけてしまった子を「またやったの!?もう2回目!事務所の先生に見てもらう!」とその子を事務所まで引っ張っていき他の保育者にわざわざ見せに行く。どうしてクレヨンで顔を汚してしまうのか理由も聞かずに。

その子は帰ってきてから「○○先生嫌い!」とその保育者に言った。それを聞いた保育者は「先生も○○ちゃん嫌いですー!」と言い返していた。

 

・なかなかお昼寝をしない子に乱暴する、怒る。

これは保育所(公立)での出来事。毎日お昼寝の時間があり、ひとりだけなかなか寝付かない子がいた。(発達障害があり多動のような感じ)

担任ではないサブの保育者が担任のいないところで「はやく寝なさい!どうして寝ないの!」と乱暴にひっぱりあげて立たせたり、怒鳴りつけたりしていた。

いつも黙って乱暴に扱われていたその子が、ある日「もうやめて…」と絞り出すような声で言っていたのが辛かった。

実習生という立場もありそこでは何もいえず、学校の先生に相談する事しかできなかった。

公立も私立も関係なく、こういったことはあるのだと知った。

そこまでしてお昼寝はさせないといけないのだろうか。

 

・絵本は自分の席で読むように。

子ども達が「この絵本を読んでー!」と持ってきてくれたので読み聞かせをしていると、担任が「自分の席で座って読みなさい!」と子ども達に言った。

子ども達のロッカーの前に横一列に並んだ椅子に座って、子ども達はつまらなそうにしていた。

小学校のやり方に慣らすためだろうか?本当に必要だろうか?

さらにこの担任のクラスでは子どもをひざに乗せることも禁止されていた。 

 

・無理に塗り絵をさせる。

「今日は塗り絵をしましょう!」と担任が子どもの遊びを決める。

しかし塗り絵をする気分じゃない子がいて「お外で遊びたい…」とつぶやいていた。

その子は塗り絵の冊子の裏にある迷路に興味を持ったので、それで一緒に遊んでいた。

すると担任がやってきてその冊子を取り上げて塗り絵のページを開いて子どもの前に置いた。それから私に「この子に言葉がけしてやる気にさせるのが先生の腕の見せ所だよ。」と言った。

私はその子が全く塗り絵をしたい気分じゃないとわかっていたので絶対に無理だと思った。色々な言葉がけをしたが、その子は結局最後まで塗り絵をしなかった。

 

・理不尽な評価

毎日事務所に「おはようございます!」と挨拶をしていたのに、きちんと挨拶を返してくれなかった先生が何人かいたこと。

そして実習の最終日の総括で、園長から何故か「挨拶ができていなかったね。」と言われあまりに驚いたので「えっ?毎朝していたのですが…」と返すと「声が小さかったんじゃない?」と言われた事。

小さすぎず大きすぎず普通の声で、無視されても毎朝挨拶していたのに。

さらにもうひとつ。

最初は胸に縫い付ける名札を使っていたのだが、Tシャツを変える度に名札をつけなくてはいけないので腕につけるタイプの名札を使っても良いか担任に確認したところ「大丈夫ですよ!」と言われたのでそちらを使っていた。

そして最終日、園長に挨拶のことを言われた後に「名札も途中で変えていたし…。最初言われたことはきちんと守りましょう。」と何故か注意される。

隣にいた担任が小さい声で「えっ…伝えてなかったっけ…。」と言っていたが園長には聞こえず。

ちょっとしたことですがすごく嫌な気分で実習を終えました。

 

保育者として私がやるべきこと。

その先生は長く豊かな保育の経験を持つ方で、正真正銘の保育のプロだ。

柔軟で心優しく、私はその先生の言葉に幾度となく励まされ救われてきた。

 

先生は私の話をしっかり聞いて、話してくださった。

「その保育者はあきらかに間違った保育をしているし、それは許されることではない。あなたの感覚は間違っていないし、それを無くしてはいけない。」

「しかしどの園にいってもそういった保育者はいる。」

「同期の仲間がいたり、園長が味方をしてくれるのはまだ救いがある。園長が本当に園を変えていきたいと思っているなら力を貸してくれるはず。」

「保育園に連絡しても、この子は不満があったらすぐ辞める子なんだと思われる可能性がある。」

「あくまで私の意見だけど、とりあえず1年間頑張ってみるのはどうだろう。それで本当にダメだとおもうなら辞めればいい。幼稚園なら他にもたくさんある。そこでの経験も決して無駄にはならない。」

「あなたなら得意なことを活かしながら頑張れるのではないか。」

「疑問や不満があれば私がいつでも話を聞くから。」

 

そうだ。まず1年間頑張ってみればいい。本当にダメならそこで辞めればいい。

先生の言葉で私の心は軽くなった。

そして決意した。

 

私の頑張りで本当に変えていけるかわからないけれど。

どこまで頑張れるのかまだわからないけれど。

 

やってやる。

 

大切な子ども達のために、まず私が頑張ってみよう。 

自分を守る?子どもを守る?

次の日は学校での卒業演奏会の練習がある日だった。

泣きはらした目は冷やしてなんとかごまかしたかった。

久しぶりに最高の仲間に会えるのがとても楽しみだった。

なにより、先生に会えると思うと安心できた。

もうとてもひとりで考えるのは無理だった、相談したかった。

 

先生にすべて打ち明けた。

「幼稚園にはそういった先生は結構いる。保育というよりは教育という色が強く出てしまうからだろうか?しかしその教育の仕方は間違っている。」

「中に入ってみて初めてわかることってあるよね。でもそれは決して無駄な経験ではないよ。」

友達にもすべてを話した。

「本当にひどい。私ならそんなところはすぐ辞める。耐えられない。他にも良い園はたくさんある。見学だけじゃわからない部分があるよね。」

 

私は前に声をかけてくださっていた保育園の園長先生を思い出した。

初めての実習で行った保育園でそこでの実習が一番楽しかったのだ。

そこの園長先生からの誘いをお断りして、今の幼稚園に就職した。

それを後悔し始めていることを話した。

 

友達は「今は研修期間だから、辞めるなら早いうちがいいかもしれない。一度担任を持ってしまったら子ども達のためにも辞められなくなる。ダメ元で保育園に連絡をとってみたら?」

「自分が壊れてしまったらどうしようもない。目が腫れてるから昨日も泣いてたんでしょう?(泣いてたことバレてしまいました)研修が始まったばかりでそんなにボロボロになるのは心配。耐えられないかもしれない。」

 

しかし先生の意見は少し違っていた。

「でも、あなたが辞めてしまっても子ども達は救われないよね。同期に仲間もいて延長も味方についてくれそうなら頑張ってみるのもアリだと思う。子どものために踏ん張れたら本当に凄い保育者だと思う。でも決めるのはあなただよ。」

 

私は葛藤した。正直もう心は疲れきっていた。

でも子ども達が気がかりだった。

それに私が先生達からいびられたりしているわけではないし、それならまだ頑張れるのではないかとも思った。

園長も園を変えていきたいと思っているなら…。

保育園は一度断ったのに、いまさら連絡を取るなんて…。

でも辞めるなら今かもしれない…。

 

結局私は決めきれず、もう一人の先生に相談することにした。

悪夢の節分

節分の日。

鬼に扮した保育者が部屋に現れ、子どもたちは少し怯えた表情を見せる。

ここまではまだ微笑ましかった。

 

しかし鬼は部屋の中であるにもかかわらず子ども達を本気で追いかけまわす。

子ども達は必死で走って逃げるため、椅子が倒れたり机のそばで転ぶ子がいたりと非常に危険な状態に。

頭を打ったら大きなケガにつながるかもしれない。

私は子ども達がケガをしないようイスを拾い起こしたが、クラスの保育者は笑って子どもの怯える様子を見ているだけ。

 

すると普段よく保育者に怒られている子どもが、保育者に手を引っ張られ鬼の前に出される。

「ちゃんと言う事を聞くか~!」

鬼が怒鳴りながら子どもにせまる。あまりの恐怖にその子は泣きながら何度も

「言うこと聞く!言うこと聞く!言うこと聞く!」

 

まだ部屋の隅でひとり座って給食を食べている子も鬼のターゲットになり、鬼が迫ってくる恐怖にまだ口に食べ物が残っている状態で激しく泣き出す。

私は喉に詰めるのではないかとかなり心配になった。

 

さらに鬼は隣の部屋から○○ちゃん(嘔吐してもまだ給食を食べさせられていた子)を連れてきた。

○○ちゃんは今日もひとり残されて給食を食べていたようで、大泣きしているその口にはいっぱい食べ物が入っていた。

園長に相談した後日だったにもかかわらず、そんな事が起こっていた。

絶望感と怒りがこみ上げてきた。

 

四つん這いで必死で逃げようとする○○ちゃんの服をつかんでまで脅かそうとする鬼。○○ちゃんの口にはまだ食べ物が入っており、もし喉に詰まってしまったらという心配しかできなかった。泣き方も激しかった。

 

こんなのは節分じゃない。

節分は子どもを脅かすための行事ではない。

子ども達に保育者の言う事を聞かせるために鬼を利用しているだけであって、正しい文化や意味をなにひとつ伝えられていない。

 

なぜ○○ちゃんは給食を食べる度に、こんなに辛く恐ろしい思いをしなくてはならないのか。

私が園長に事実を伝えたことはなんの意味もなかったのか。

 

この日は金曜日だった。

勇気を持って行動したのだから、これからは何もかも上手くいく。

休日を楽しんだらまた頑張ろうと思っていた。

 

研修が終わって恋人の家に行った。

迎えられた玄関でしばらく動けなかった。

一緒に食事をしている時も子ども達の事が頭から離れなかった。

 

夜眠る前に真っ暗になった部屋の中で、夢だったのか、○○ちゃんの泣き叫ぶ声が頭のなかで聞こえた。

子ども達の悲しそうな表情が思い浮かんで私は耐えられなくなり恋人にすがりついて泣いた。

罪悪感でいっぱいだった。なにもできずにごめんなさい。保育者として失格だ。

結局辞めさせられるのが怖いから行動できなかったのではないか。

 

研修が始まってまだ間もないのに、もう辞めたい耐えられないと思った。

でも、私が辞めたところで子ども達はどうなるんだと悩んだ。

ちょっとしたこと?

ここでは私が働く環境として疑問を持った点を挙げていきます。

 

・備品をそろえる際は自費で購入しなくてはならない。

担任を持った場合、部屋におたより帳を入れるカゴなどが必要になるが先輩保育者はそれをすべて自費で100均でそろえて結構な金額になったそうだ。

トイレ掃除に使うゴム手袋さえ買ってはもらえない。マスクも置いていない。

 

・トイレの掃除が雑

水を撒くのにもホースではなく何故かジョウロを使う。水を中途半端にしか流せないので床が砂や足跡などで汚れたままになる。(トイレ掃除用のブーツもないため)

実習先の園ではノロウイルスの感染を防ぐため便器なども次亜塩素酸で消毒していたが、雑巾で水拭きしかしない。(これは園によって差があるものなのでしょうか?)

 

・嘔吐物は素手で処理する。

子どもが嘔吐して汚れたズボンを素手で洗わされた。さらに水で軽く洗うだけで、それをビニール袋に入れて子どもに持ち帰らせる。

ノロウイルスでの嘔吐の場合はどう対応しているのか疑問である。

 

・保育の部屋にエアコンがついていない。

あるのは古いオイルストーブと天井にある扇風機だけ。

冬にストーブを使う際も換気のためか窓を常に開けているので、室内も外と変わらないくらい寒く上着は脱げない。子ども達もよく「寒い」と言っている。

夏の暑さも心配である。

先生たちが集まる事務室にはエアコンがついている。

 

・お給料の詳しい話が事前にされない。

「研修中のお給料は出します」とだけ研修前に言われていたが、研修が始まって一週間経っても詳しい金額も聞けず口座番号も聞かれていない。同期の子はおかしいと言っていたのですが、親に相談すると「研修のお金のことは自分から言わないほうがいい」と言われました。それが社会のマナーなのでしょうか?

 

こんな感じで色々不安や不満が重なっていったので、ある日思わず親に愚痴を言ってしまった。すると…。

「もー!アンタもよく調べて就職先選びなさいよ!」

「いまさらそんな…。」

 こういう経験をしているからこそ言えるのですが、就職して実際に中に入ってからじゃないと見えない事ってありますよね。

それに間違った保育を見えないところで行っている園があきらかに悪いのに、何故か私が怒られる…。

世の中、理不尽なことをしているほうはほったらかしで、理不尽な目にあっているほうが我慢しなきゃならないのか。と感じました。 

波風立てず

次の日、研修の最中に園長の奥さんから呼び出しがかかった。

(家族経営の園で、奥さんも先生をしている。)

 

「園長からお話は聞きました。ショックを受けましたよね。まずはお詫びいたします。詳しく話してもらえませんか?」

責められるようならすぐにでも辞めようと思っていた私は、少し安心して話をさせていただくことにした。

 

私は事実を話した。

○○ちゃんの名前を出したとたんに先生は「ああ。やはり。」という表情になった。

先生の話から○○ちゃんは食に課題を抱えている子で、咀嚼もしづらいために食の進みが遅いのだとわかった。

だったらなおさらあの指導の方法は、○○ちゃんに食に対してのトラウマを抱えさせてしまい課題の解決にはつながらないのではないか?とさらに疑問を持った。

「その子の背景はわかりました。しかし保護者が見たら批判するであろう保育の仕方は、絶対にしてはいけないのではないですか?」

これに対しての先生の返答は

「この園もまだ発展途上で、古い保育は変えていかねばならないと私も思っています。なかには変化に柔軟な先生もいらっしゃるのですが、そうではない先生もいるのが事実です。ベテランの先生ほど自分の経験を否定されることによってプライドが傷つく恐れがあります。だからこそ、新しく入ってくる先生方にはチームワークをしっかり持って頑張ってほしい。」

 

他にも聞いた話では

「前は1年目で辞めた先生がいた。前例がなく私も驚いた。最低2年は続けてほしい。」

「これからは先生方が休みを取りやすい環境を作ったり、私は引退しますが無給で(ここをかなり強調していた)保育の現場を見回ろうと考えています。」

「いい先生もいるのでそういった人をお手本にしてほしい。」

「意見してくれた事は素晴らしいです。私はとがっている人は嫌いじゃない、でもとがっているだけではダメ。チームワークですから協調性も必要ですよね。」

「研修生のシフトを作ったり担当のクラスを決めたのは主任の先生達(比較的キツめの先生方)だからあなたの話を聞いたときに、なるほどと思った。」

 

色々話してはくださったが、やはり「波風立てず」といった感じであった。いつ、どのように対応してもらえるのかもよくわからなかった。

1年目で辞めてくれるなよという威圧と、とがっているという言葉になんとなく皮肉を感じたようにも思えたが…。

しかし何かあればまた話を聞いてもらえるし、味方はしてもらえるかもしれないというわずかな希望は持てた。

 

正直かなり深刻な問題であるはずなのに、現場での対応はこんなものなのかと感じた。

私が保護者なら絶対に納得はできないだろう。

 

保育のカラー 保育者の個性

園長に私が見た事実を伝え、これが園の方針なのか確認をした。

まず園長の口から出た言葉は

「そのひと場面だけを切り取って考えるのは控えてほしい。」

私は意表をつかれた。

園の責任者である園長ならまずその事実に驚き、早急に担任に指導を行うのだとばかり思っていた。

「担任には叱る?というよりは、まあ伝えておきます。」

 

大変な問題にも関わらずそんな返答しかしないのかと怒りを覚え、前から気になっていた発表会の指導の方法についても質問を重ねた。

「この園では保育者の個性を押さえつけないので、保育のやり方には保育者のカラーが出る。」

「保育者のカラーをかぶった保育を園の方針だと誤解はしないでほしい。」

どう返していいかわからず、この時は園長の返答を聞くしかなかった。

 

しかし後にこの返答を踏まえて私が思ったことは

・場面を切り取るもなにも私が見た場面は事実であり、それは許されてはいけない事であるのは確かなはずである。嘔吐したものが入ったままの食器で、そもそも嘔吐するまで無理に食べさせること自体が人間の扱いとは思えない。

・保育者の個性を尊重する事と、間違った保育を容認することは違うはずだ。間違った保育は間違った保育でしかない。個性として認めるべきものではない。

・私だけではなく、保護者であっても保育者が行う保育のやり方こそ園の方針だと捉えるのが普通ではないか。

ちなみに普段園長は保育の現場を見回っている様子もない。

 

話し合いの最後に園長は少し笑いながら「ショックだった?」と聞いてきたことにも驚いた。

聞くまでもなく当然である。

園長はこの事実にショックを受けなかったのだろうか。